たくさんの奏法が溢れる宝庫!チャイコフスキー国際コンクール

4年に1回開催されるチャイコフスキー国際コンクール。ネット上で無料配信されていますが、皆さんはご覧になられましたか?ファーストステージ(25名)→セミファイナル(14名)→ファイナル(7名)、そしてガラコンサート。全てアーカイブされています。はい、時間が足りません(笑)

こちらにピアノ部門のページをリンクしますので、是非ともご自身の好きな演奏を見つけてみてはいかがでしょうか!(画像はフルート部門になっていますが、リンク先はピアノ部門です)
本当に様々な響きがあって、それはその人の生き方や感性が音に表れているという事はもちろんですが、「奏法」という名の「どのように身体を使って弾いているか」が個人のベースにあり、そして演奏の全てを表しています。

一流の演奏家は、感性が素晴らしいだけでなく、必ず自分の求める響きを持っていて、「それを出すための奏法」をしっかりと持ちつつ、研鑽してされているということ。一人ひとりが、ピアニストとして追求している所、信じている所というものが、このコンクールを通してたくさん見えてきて、本当に尊い存在に感じました。

私自身が奏法をベースから変えたことにより、どのように身体を使い、手を使い、そしてどのような響きを求めるかに、音楽の追求の道があることを知りました。ですのでコンテスタントの皆様の演奏を見て、自分の耳がどんどん開き、私の好きな音というものが、求めている表現が元々あって、その中で、皆様の演奏を聴くということが、とても楽しく、クラシック音楽の奥深さを実感します。

私はまだ全てのピアニストの演奏を拝聴できておりませんが、ググニンさん(ロシア)が好きでした!彼はファイナルには進めませんでしたが、彼の音楽的なエネルギーは、うんうんそうだよね、そうだよね(*´Д`*)と、私の心のツボにピッタリとささる演奏でした。

そして何より、1位のカントロフさん(フランス)!他のコンテスタントの方とは次元が違う所にいらっしゃる。深淵で豊かで惹き込まれました。ノーブルで自然な呼吸の中で演奏されているのに、彼の歌心に涙を越える感動を頂きました。類稀な技術を情感でまとっている演奏、素晴らしかったです。コンチェルト作品の選曲(ファイナルもガラも)にも、彼の音楽感や生き方が表れていて、本当に素敵な方ですね。なんか無理がないですよね、存在そのものに。心の豊かさ、といいますか。このような方がコンクールで優勝されるというのは、とても嬉しく、今の世の中(コンクール事情)そのものに安心しました。生で聴いてみたい!!

2位の藤田真央くん(日本)!彼の響きの透明度は凄かったですね。フォルテシモも、絶対に潰れない、絶対に。プロコでの和音の嵐も、決して音が割れない事に驚愕しました。どんな作品であっても、常に響きの透明度にこだわって作り上げているのがよくわかりました。何を弾いても毒気がない!まさに「邪気がない」というのかな。個人的には、ロシア作品は濃厚な重さや独特の闇がある演奏が好きなのですが、ピュアな響きに心が浄化されます。

真央くん自身は、ソコロフ様が好きだそうですよ(*^_^*)なるほどそういう事かと納得。ソコロフさんはロシアンピアニズム、音色の魔術師様です。YouTubeで無料で拝聴、拝見できますので、ご存知無い方は是非。

この重要なコンクールにおいて、もの凄い精神状態で、自分の持っている全てを表現するために、目に見えない努力を積み重ねておられる音楽家たち。一人一人の演奏を、BGMでは聴けないので、本当に時間が足りないのです(笑)あまり好みではないな、と思っても、途中でストップしては失礼になる!と思ってしまうほど、皆さんが尊い存在だと、本当に思うのです。

クラシック音楽は、難しいとか、よくわからないとか言われる事もありますが、それも当然なのかもしれませんね。芸術だもの。深く深く掘り下げて、高く天と繋がる所に存在している音の芸術です。そもそも「わかる、わからない」のものではないのです。頭ではわからなくても、素晴らしい音の芸術作品と、真摯に向き合う芸術家から、たくさんのものをもらっていますから。頭でわからなくても、大丈夫なんです。


ところで、過去数十年に渡り日本で教育的に浸透している弾き方は、「ピアノが美しく鳴らない、音が潰れる、膨らまない」。このようなコンクールを聴いていれば、世界に流れている音、世界に通じる音に耳が刺激を受け、真実が見えてきます。それがまさか演奏者の感性だけでなく、奏法にあるとは。。

まだ日本では浸透しきってはいない様々な奏法。気付いた人は、世界が広がっていきます。あとは、真摯に自分と音楽の関係を築いていくだけです。

╰(*´︶`*)╯♡