フレージングが呼吸をつくる

フレーズのかけ方(どこからどこまでをひと呼吸、又はひとかたまりと捉えるか)を変えることで、そのフレーズ内の頂点へ持って行くための緊張感、そして、音の運び方や呼吸のリズム、全てが変わります。例えばフレーズ内の頂点を、まず自分が弾いているやり方と違う場所に設定してみると、あら不思議、また別世界が広がる!それにより、結局何通りもの演奏ができるようになります。

フレーズを長く作り上げるには、常にレガートを身体が感じていることが要だと思います。そして、このレガートを強めにするか弱めにするかで、吸引力がグッと変わることを最近の練習で体感しています。レガートは、音符と音符の間を歌うこと。それを確かに音にしてくれるのは、やっぱり奏法。歌で言う所の発声です。骨格をとらえた筋肉の使い方です。音楽をするための基盤!

書かれている音符(弾く音)に指が反応するというのではなく、その前後の空気や、フレーズ全体の呼吸に意識を合わせます。すると、その人の演奏する世界観となって、立体的に浮かび上がってくるのです。逆に、呼吸が感じられない演奏は、やはり音符に指が反応している弾き方をしています。言葉で説明するのは難しいですが、その状態は、いわゆる一音一音を大切にしている、という事とはまた違うのです。

フレーズを長く作り上げる時は、呼吸が深い所で楽に出来ている状態をキープしていて、それはなんだか瞑想に近い感じでしょうか。そういえば、ヨガも瞑想もポーズやスタイルに拘るのではなく、大切なのは呼吸って言いますよね!呼吸に集中するって。

表現したい気持ちが大きければ大きいほど、より身体のコントロールが必要だと身を持って感じています。そして、そのコントロールが出来るようになればなるだけ、身体が自由になり、身体が自由になると、心も落ち着き、客観的に自分の演奏に耳をすます余裕が生まれます。


本当に奥が深い。


だからこそ、芸術としての音楽を、今日もこれからも、目指して行こうと思うのです。変化も進化も未知数だから、既成概念を外す練習がしたい、っていうのが、今の私のモチベーションです。