ベッリーニは、もはやショパンである。

ショパンがピアノでベルカント唱法を目指していたことは、有名な話ですね!(ショパンマニアにとって )ベルカント唱法は、イタリアオペラにおける理想的な歌唱法で、低音から高音までを均一に美しく、しかも楽に出すことができ、またコロラトゥーラ(細かく動く音をコロコロ歌う感じ)など高度な装飾技術も備えている唱法です。

この動画は皆様ご存知のマリア・カラスです。ベッリーニ オペラ「夢遊病の女」(凄いタイトル)の中のアリアを、カラスがまさにベルカント唱法で歌っておりますので、聴いてみて下さい!このベッリーニの世界観(カラスの素晴らしすぎる歌唱力もあっての)、まさに、ショパン過ぎてびっくりしますよ。

はい、どうでした?
決して雰囲気の話ではなくてね、

旋律の歌わせ方

フレーズの感じ方

ルバート(音の伸び縮み)のかけ方

細かい装飾音にみえるデュナーミク(強弱の付け方)

長い音符から短い音符に行く際のデュナーミク

フレーズの終わりの音の消え入り方

高音の出し方


細かいニュアンスが、まさにショパン


思わずデカ文字にしましたが、ここを聴いて欲しいのです。ショパンを弾く皆さんに。
実際ショパンはベッリーニと同時期を生きていたので、実際に彼のオペラ作品を聴いて、「自分はピアノでこの世界観を表現したいんだ!」と言っています。なので、似ているのは、偶然ではなく、必然です。

「高音の出し方」にも着目。ピアノはちょっと手を動かせば、簡単に高い音へ跳躍できますね。ですが、歌はそうはいきませんよー。体の準備がかなり必要になってきますから。息の調整もあるしね。その跳躍の難しさ、高音を出す際の体の状態が、ピアノの音で再現できたら、それこそショパンである、と思うのです。

ピアノって打楽器だよね

って、もし言われたら、要注意です(笑)
もちろんピアノは、打楽器的な役割をあえて持たされる機会もありますし、弾き方によっては打楽器のようになりやすいです。そこのコントロールが難しく、それこそ弾き手の感性の見せ所でもあります。特に現代のピアノではそこのコントロールで、演奏の質を大きく変えます。

ショパンが生きていた時代の楽器、ショパンが愛していたプレイエルを弾けばわかりますが、どれだけ繊細か。。。歌うように、話すように弾いて、初めて成り立つ楽器です。そして、プレイエルは高音に行くにつれ音が段々小さくなる構造なんです。

ピアニストも色々いるので、この辺りを知識として知りつつも、演奏には取り入れていない人もいます。もう、好みなんだろうね(笑)私は、やっぱりプレイエルの感じ、歌うように、話すように、なショパンを弾きたいなと。そこだけは変わりません。