ペダルのテクニック〜色のコントロール〜

鍵盤のタッチをどう繊細に扱うかと同時に重要なテクニック。

それは、ペダリング。

バロック・古典派の作品でのペダリングは、音を混ぜる目的ではなく、響きの補助として上手に使います。基本的には指のレガートで音から音への伸びをキープしつつ、ペダルは上等な味付けのようなイメージです。

対してロマン派以降の作品では、1つの和声の中で混ざり合う響きや、倍音を意識して重なり合う音の響きを意識したペダリング指示が書かれています。

ここがまず大きな違いですね!

どの時代の作曲家の作品なのかで、そもそものペダリングの解釈が違う、意味合いが違うという事ですね♪( ´θ`)

ここでは、ロマン派以降の作品を弾く際のペダリングの話をします!


私はいつも絵の具のパレットを想像しますし、生徒にもそう伝えています。



絵の具はパレットの上で、それぞれの色をどのような配分量で混ぜるのかで色が変わりますよね。


1つの音=1つの色


色のイメージを持って、ペダルを繊細に扱うと、色彩感や立体感が生まれます。



ペダルを踏みながら、たくさんの音、たくさんの声部(パート)を同時に弾くんですから、それら全ての音(=色)が混ざり合って響くことになりますよね。

そのうえ、実際は倍音といって、弾いていない音も共鳴して鳴るので、それはもう、どれだけ同時に色々な音が鳴っているか!!

というわけです。


これだけたくさんの音=色


配分を考えないでペダリングしたら、どうなるのか、、、


それはもう、、濁る。
音の洪水です。


濁らせずに、美しく混ぜ合わせる。



これ、言葉で言うのは簡単ですが、実はかなりの上級テクニックだと思います。


ホールやピアノが毎回変わる中で、現場での即時対応でペダリングを調整します。
当然、普段の練習でペダルを踏んでいた箇所を、本番では踏まなくなる事もあります。
指定通りではなく小刻みに踏み替えることも、当たり前にあるのです。

とにかく現場対応!

響きの良いホール、残響のない会場、現場は色々ありますからね♪( ´θ`)

音を出す前に、自分がどんな音を出すかを予知する耳の準備。耳の予知能力と読んでいます(笑)
そして、出た響きを追いかける耳の集中と、それに対応する運動神経。これは、脳から身体への伝達スピードが必要でしょうか。


リサイタルに向けて、ドビュッシーの作品を弾いているのですが、ペダルの踏むタイミングや、踏む分量(ハーフペダル、4分の1ペダルなど)をどうするかで、世界観がガラッと変わっちゃうのが、もう感動的で(笑)

楽し過ぎるのと同時に、どれがベストなのかがわからない(笑)


神秘的  か  超現実的 か

光が強め  か  影にフォーカスする  か


まぁ、本番当日には、練習では現れなかった世界観が訪れる事は、いつもの事なので、その場のものになるんだけど。


その『確かな不確かさ』って、本当に言葉にならない感動ですよね。

ペダリングの話から逸れましたけど(笑)

ペダリングこそ、現場の対応力。


その対応力を付けるためにも、普段から雑なペダリングをせずに、、、

《耳》ですね、やっぱり。