手のひらの筋肉

ピアノというのは、同時にたくさんの音を鳴らすわけですが・・・全ての音が同じ音量、同じ音圧で鳴ってしまうと、響きが潰れてしまいます。全部の音が混濁してしまうと、ポイントとなるメロディーやハーモニーが、他の音に混ざってしまい、不鮮明な演奏になってしまうんです。


各音の響きのバランスを、コントロールできるようになると、立体的な演奏をすることが可能になります。

 

そこで必要になってくるのが、手のひらの筋肉です。

 右手、手のひら側の写真です。 

【オレンジ、緑、赤、水色(紫)】 4カ所をポイント的に意識します。

①オレンジの囲み⇒V字の屈筋

特に、《小指側の筋肉》は、ピアニストにとって重要な筋肉です。意識してこの筋肉を使うようにすれば、どんどん育って、大きく強くなっていきます。 5の指が響かないと感じていたり、そう指摘されることが多い方は、ここの筋肉が使えていない場合が多いです。 同時に、対角線上にある《親指側の筋肉》も常に意識する事で、手のひらの支えを保つことが出来ます。


 ②緑の2本線⇒手首の腱  

2本の腱が浮き上がっているのが見えると思います。腱とは、骨と筋肉を繋いでいる部分のこと。(アキレス腱の場合:ふくらはぎの筋肉から踵の骨を繋いでいますよね!) 手首の腱は、前腕の筋肉から繋がって、指(手のひら側)まで到達しています。 この腱を支えにすることで、腕の重さを上手にコントロールします。 ちなみに、筋肉が太くなると、腱も同時に強くなります。 


 ③赤のポイント⇒第3関節を曲げる虫様筋

第3関節から指を曲げるのが、ロシア奏法の特徴です。第3関節を曲げる時に使う筋肉は「虫様筋」と言います。 この虫様筋こそが、手のひらで弾く感覚の元となる重要な筋肉なんです。虫様筋を手の中にグッと引き寄せるように、空気を集めるようにします。例えばアルゲリッチは常にこの状態で弾いています。ホロビッツは指を伸ばして弾いていますが、決して脱力しているわけではないのです。 実際には、この虫様筋を引き寄せるように緊張させた状態で指を置くように弾いてることがよくわかります。 この状態で弾くと、②で書いた、手首から前腕の腱と筋肉が連動している体感が必ずあります。 


④水色・紫⇒1の指の扱い方

1の指だけは、ほかの指と違う場所についているので、使い方が重要です。

この三角ゾーンの筋肉は中指から始まっています。 この三角を開いた状態で1の指を、少し建てるようにして使います。こうすると、腕からの繋がりで1の指を扱えるようになるので、とても楽に弾けます。親指は手首から使うのです。 例えば、内声を響かせたいときや、1の指と2の指の連係が必要な時。このポイントができると、2の指の第三関節が持ち上げやすくなりますので、2の指をドスンと押し込んでしまう方、その問題もこれで解消されます。


体幹と腕と手首の連携プレー


胴体背中→肩甲骨→上腕→前腕→手首→手→指


結局のところ、これらの連携と手の使い方はセットです。重要なのは、あくまでも胴体、体幹から動きの流れを作ること。手元のみで解決しようとすると、手を痛める原因になりますので、気を付けてくださいね!