プレイエルでショパンを弾く《同調する》

ショパン(1810~1849)が愛してやまなかったピアノ、プレイエル「PLEYEL」。

お世話になっている調律師さんが所有されている《ショパン時代のプレイエル》を

長時間弾かせて頂いた経験があるのですが、こちらはその時の動画です。

普通にこの楽器に慣れるまで、弾きこなせるようになるまで、かなりの時間が必要です。

この動画も、全く弾きたいようには弾けておりません(笑)



現代のピアノとは楽器の構造が違いますので、鍵盤のタッチも、音の鳴り方も、響きの質も全く違います。


大きい音は出ません。


出そうとすると音が割れてしまい、美しくありません。。。


そのかわり、弱音のニュアンスの幅がとっても広く、様々な音色が出せます。

弾く人がどれだけ一音に意識を払っているか、弾く人の繊細さがそのまま音に出るピアノです。


ショパンが最も大切にしているのは、

繊細な弱音の表現と、カンタービレ(歌うような)な響き。


彼の理想とする世界観は、現代のピアノでは少々大げさになってしまうなぁ・・・と

日頃から感じています。


ショパンの作品を、現代のピアノでバリバリ弾いてしまうと、音の圧が強すぎるように思うんですよね。


ショパンが生きていたら顔をしかめそうです(笑)


私は、シンプルでノーブルな演奏が好きです。

さり気ないんだけど、自然に繊細に心の陰影を映し出す演奏。


「ショパンらしさ」を感じる演奏とも言えるでしょうか。



そうそう!!

ショパンを弾く際に、知っておくべき重要な事があります。


ペダリングや強弱記号も、全てショパン自身、プレイエルで弾きながら書いたものです。

ですから、現代のピアノで、楽譜通りのペダリングや強弱で演奏すると、

ショパンと遠ざかってしまうことが多くあります。


例えば、高音に向かってのクレッシェンド。

プレイエルの特性で、高音域は音が弱くなります。

高音に向かって行く際に、音量をキープしたいと考えた場合、

ショパンはクレッシェンドを書いているんです。


と、いう事はですよ!!

現代のピアノで、書いてある通りにクレッシェンドしてしまうと、ショパンの求めている事とは離れてしまうんですね!


ショパンは大きい音を嫌っていました。

そのことを思っても、弱音の美しいプレイエルを好んでいたことを思っても、ショパンのフォルテをどう扱うか・・・変わってきますよね。


ショパン時代のプレイエルを弾くことで、これらの感覚が音として表れ、全てに納得するのです。



とはいえ、ここに書いたことは、全て知識として大切な事。


最も自然に彼の作品にアプローチするには、

寄り添い、同調することだと思います。


そのくらい、同調を必要とされる作曲家だと、私は思います。