和声を感じて弾く

今日は、日頃のレッスンで最も多く感じる、《歌い方が演歌っぽくなる&音が硬くなる》という症状について書いてみます!


色々ありますが、だいたいは以下の状態から発生しています。


音の鳴り始めだけを聴いている

1音1音の意識で弾いている

フレーズを感じてはいるが、奏法的に鍵盤を深く打鍵している

音の連なりを和声でなく、単旋律で聴いている


さて、これらを改善するにはどうするか、簡単にまとめてみます。

①音と音の《間》を聴く。

音の始まり《子音》だけでなく、鳴った後の音、《母音》を聴く。

言葉で説明するのはとても難しいですが、「聴く場所を変える」といった感じです。

レッスンでは、私が両タイプを弾き分けてお聴かせします。


②音楽の全体像をつかむ。フレーズで弾く。

全体がどのように進行し、どのようなパターンで構成されているのか、それをわかった上で、今弾いている旋律は、どこまでが一つと捉えるのか、フレーズを楽譜から読み取ります。そのフレーズの中で、ポイントとなる和音や、旋律の頂点を見つけ出すのです。


③鍵盤の浅いところを「狙って」弾く。または、深いところを狙い「瞬間的に脱力」する。

指弾きの奏法ですと鍵盤の深い所を押し込んでしまうので、音が潰れて固い響きになってしまいます。この状態で感情を込めて弾くと、どうしても「演歌っぽく」聴こえてしまうのです。これは、奏法を変える事で、徐々に洗練されていきます。


③和声 ハーモニーを感じて弾く。

メロディの歌い回しが演歌っぽくなってしまうのは、単旋律の動きだけを意識して弾いているためです。この特有の演奏は、実は日本のピアノ教育現場でよく耳にします(^_^;)
東洋的な印象になるので、洗練された西洋の音楽とは、ちょっと違うんですね。
メロディと同時に鳴っている和声を感じて、その和音の響き・ハーモニーの中でメロディを響かせる感覚を持つと、とても自然にヨーロッパの音が出せます。
和声を感じて弾けるようになると、音楽が変わりますよ!響きが豊かになり、多声部の音バランスも自然と上手くいきます。
ピアノは同時にたくさんの音を扱う特別な楽器です。和声 ハーモニーを感じてこそ、美しい音楽が生まれるのです。


単旋律の楽器奏者や歌手の方も、上手な方は、和声を感じて演奏しています。

《倍音》が鳴っている演奏は、

音が層になって聴こえてきます。